藤堂家 染井屋敷の石像
江戸時代、現在の駒込4~5丁目には、津藩・藤堂家の下屋敷があった。
東京に住んでいながら現地に行ったことがないので、その内、見に行ってこようかと考えていたのだが、なかなか思うに任せずようやく今回、その下屋敷に設置してあった石像を今も安置する乗蓮寺に行ってきた。
ここは東京大仏で知られる板橋区のお寺である。
まず藤堂家の染井下屋敷であるが、幕末の記録にはこうある。
藤堂家染井の別邸は高虎以来の抱地にて、高次致仕の後は此に隠居せられたり。廣さ六萬坪に餘れる廣大なる園中に林泉亭館の結構ありて、風致の美木石の富名状すべからず。其の尤奇なるは各種の石像なり。布袋、文珠、奪衣婆、不動地蔵、役小角、夷大黒、鐵拐仙人等の像あり。大なるは高さ一文丈二三尺、小なるも三四尺に下らず。又姥か茶屋といふあり。老婆と二つの孫児兄と並座するさまの木像なり。彫刻最も巧妙なり。其の前に安置する銅甕は四面に波紋を刻す。是雪舟か下繪なりといひ傅へたり。又一つの小伽藍あり。和尚高座に在りて説法し、男女の信徒渇仰随喜する體を設く。皆木像なり。その畸形怪状、見る者絶倒せざるなし。又園中いたる處に茶店洒肆あり。皆偶人を設けて茶を點じ酒を侑るさまを装ふへり。花時に至るごとには門扉を啓きて、衆人の来遊に任せ、茶洒皆その縦飲にまかせしとぞ。
寺内には案内板があって旧藤堂屋敷に遭って今、現存している石像は、鉄拐仙人像、婆々石像、天邪鬼石像、大黒石像、文殊石像、布袋石像、役行者石像、恵比寿石像の八点とある。
国会図書館蔵の「藤堂家下邸庭園図」と並べるとこうなる。
【文殊菩薩】
【恵比寿天と大黒天】
実物は釣り竿がないけど・・・
【脱衣婆】
【役行者】
【天邪鬼】
なぜか実物の方は、立て看板が「我慢の鬼」
になっている。
天邪鬼は我慢しないと思うけど・・・。
【鉄拐仙人】
【布袋】
この布袋様だけ他の石像と比べると妙に新しい上にポーズが違う。
上に掲げた寺内の看板にはこの像も藤堂家旧蔵となっているが恐らく違うものと思われる。
それとももう一体違う場所に設置されている?
【倶利伽羅像】
むしろこちらの倶利伽羅龍が藤堂家旧蔵らしく見えるのだが・・・。