藤堂高虎
藤堂高虎とその家臣
藤堂玄蕃家
藤堂玄蕃家初代の良政は高虎の従兄弟にあたります。
良勝の項でも書きましたが高虎の祖父にあたる良隆は男子がなかったので、複数の養子を取っています。内、一人が多賀豊後守高忠の次男である良直で、良隆の婿養子となりました。その子が良政で織田信長、丹羽長秀、豊臣秀吉に歴仕した後に、秀吉の命によりその甥・秀次の属臣となり、五千石余の禄を給され、高一万石の与力を預かる重臣となっています。
良政は高虎とは全く別の人生を歩んで頭角を顕しましたが、文禄4年（1595年）7月に秀次が切腹すると、その重臣として連座し命も危うい立場に追い込まれました。この時、高虎が秀吉に対して助命を嘆願したため処罰対象から外され、身柄を高虎に預けられることとなりました。その後、慶長5年（1600年）の関ケ原戦に従軍し、9月15日の本戦で石田三成の軍勢と交戦。三成の重臣である島左近の子・新吉と戦って戦死しています。
長男・良連が家督を継ぎますが、良連は慶長10年（1605年）に20歳の若さで急死したため、三男の良重が12歳でその跡を継ぎます。次男・良以は、それ以前に幕府に出仕していたため幼少の良重に家督が回ってきたのでした。
この良重には高虎も期待するところがあったようで、その期待に違わず豪胆な若者に成長しました。
元和元年5月6日、大坂夏の陣で乱戦の中重傷を負い、危うい処を家士の押川権左衛門正重が救い出し、なんとか自陣に辿り着きます。
良重が重傷を負ったことを聞いた高虎が駆けつけましたが、手の施しようもなく、最早口の効けない良重は黙って高虎の顔を見つめるばかりでした。高虎もさすがに胸が詰まって周囲を憚らず何度も名前を呼び続けましたが、良重はやがて息を引き取りました。
藤堂玄蕃家は親子二代にわたって高虎の創業に殉じたのです。
戦死した良重の跡目・五千石は四男・良次が継ぎ、以後玄蕃家は伊賀附の士大将として続きます。
なお子孫が最も多いと思われるのがこの藤堂玄蕃家で、初代良政の次男・良以が幕臣となったことは先述の通りですが、その後裔は幕府の他、紀州徳川家、井伊家、富山前田家等に仕えました。
藤堂越後守
良隆────────┐
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│源助
├虎高─────高虎
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│ 勝兵衛、将監。実は多賀豊後守高忠次男
├良直────────────────────────────┐
│ │
│ 新助。実は多賀豊後守高忠弟・良氏の子 │
├良政 │
├女子 村瀬伊豆室 │
├女子 箕浦作兵衛忠秀室 │
├女子 藤堂新助良政室 │
├女子 藤堂将監良直室 │
├女子 匹田勘左衛門常時室 │
└女子 丸毛兵庫助室 │
┌──────────────────────────────┘
│ 初代 従五位下 玄蕃頭 号・外庵 室は久徳左近兵衛義時の娘
├良政───────┐
┌─────────┘
│ ２代 与三
├良連 室は高虎の娘、良連死後・仁右衛門高刑に再嫁
│
├女子 小堀遠江守政一室
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│ 将監 祖父・良直の遺領を継ぎ幕府に仕える
├良以
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│ ３代 玄蕃 室は矢倉大右衛門秀親の娘。良重戦死後、弟・良次
│ に再嫁
├良重────────────────────────────┐
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│ │
├女子 中沼左京大亮元智室 │
│ │
│ ４代 九蔵、玄蕃 │
└良次───┐ │
│ │
┌─────┘ ┌──────────────────────┘
│ ├女子 小森作兵衛室
│ └女子 中小路八郎右衛門宗貞室
│ 宗兵衛
├良政────────────────────────────┐
│ │
│ ┌──────────────────────┘
│ ├女子 矢倉大右衛門室
│ ├女子 内海左門室
│ ├女子 作州 吉原六郎左衛門室
│ │
│ │ 与三左衛門 室は藤堂主膳吉廣の娘
│ │ 良勝養子となる
│ └良次
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│ ５代 権之介 藤右衛門 玄蕃 号外閑
│ 室は藤堂四郎右衛門宗綱の娘
├良勝
│
├女子 中小路八郎右衛門宗直室
├女子 矢倉八郎兵衛室
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│ 孫左衛門 藤堂姓を止めて薮内と称する
├良章
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├尊真 洛西太秦勝鬘院
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├女子 豊田丹後守室
├女子 藤堂内匠高隆室
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│ 半左衛門
├良寛
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├憲乗 城州八幡山滝本坊
│
└女子 藤堂主計良忠室